犬のクッシング症候群|水をよく飲む・お腹がぽっこりするサインと検査・治療を獣医師が解説

「最近お水をたくさん飲むようになった」「体型が変わった気がする」「毛が薄くなった」——こうした変化はありませんか?それは、犬のクッシング症候群のサインかもしれません。

中高齢の犬に多いホルモンの病気で、ゆっくり進行するため見逃されやすい病気です。早期に発見し、適切な治療を行うことで、生活の質を大きく改善できます。

この記事では、原因、サイン、検査、治療、ご家庭での観察のポイントをまとめました。

クッシング症候群とは

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になる病気です。コルチゾールは本来、体を守るために必要なホルモンですが、過剰になると代謝が乱れ、免疫力が低下し、皮膚や筋肉が弱くなることがあります。

2つのタイプ

  • 下垂体性:脳の下垂体に小さな腫瘍ができ、副腎が必要以上に働きます。犬では約8割がこのタイプといわれています
  • 副腎性:副腎そのものに腫瘍ができ、コルチゾールを大量に作り続けます

タイプによって、治療方針が異なります。

【チェックリスト】クッシング症候群のサイン

「年齢のせいかな」と思われがちな変化が多いのが、この病気の特徴です。

犬のクッシング症候群のサイン。水をよく飲む、お腹がぽっこりする、左右対称に毛が薄くなるなど

飲水・おしっこ・食欲

  • 水をよく飲むようになった
  • おしっこの回数や量が増えた
  • 食欲が増えた

体型・呼吸

  • お腹がぽっこりしてきた
  • 筋肉が落ちてきた
  • ハァハァした呼吸が増えた

皮膚と毛

  • 左右対称に毛が薄くなった
  • 皮膚が薄くなった
  • 皮膚が黒ずんできた
  • 皮膚炎がなかなか治らない

放置するとどうなるか

進行すると、糖尿病、高血圧、血栓症などを併発することがあります。感染症にもかかりやすくなり、皮膚炎がなかなか治らないこともあります。

当院での検査

血液検査、ホルモン検査、画像検査を組み合わせて、総合的に評価します。

  • 血液検査:ALPの上昇、コレステロール値の上昇、軽度の高血糖を確認します
  • ホルモン検査:ACTH刺激試験や低用量デキサメサゾン抑制試験で、ホルモンの分泌バランスを調べます
  • 画像検査:超音波やレントゲンで、副腎の大きさ、左右差、腫瘍の有無を確認します

画像検査の結果は、下垂体性か副腎性かを判断する材料になります。

治療

原因、進行度、全身の状態を見て、最適な方法を選びます。

薬による治療

治療の中心は内服薬です。副腎でのコルチゾールの産生を抑える薬を使い、飲水量や食欲、行動の変化を見ながら、投薬量を慎重に調整します。定期的なホルモン検査が必要です。

手術による治療

副腎に明らかな腫瘍がある場合に選択します。腫瘍の大きさや浸潤の有無、心臓や肝臓の状態を見ながら、総合的に判断します。

併発症の管理

皮膚トラブル、膀胱炎、糖尿病が同時に見られることもあるため、並行して治療することが重要です。

継続的な管理が大切です

完治が難しいケースもありますが、適切に治療を続けることで生活の質を保つことができます。定期的な通院と経過観察がとても重要です。

ご家庭でのケアと観察のポイント

  • 飲水量を記録する:毎日のお水の量をメモすると、治療効果の確認に役立ちます。飲水量の目安は犬猫の脱水の記事で紹介しています
  • 体重と体型を確認する:お腹のふくらみの改善度や体重の変化は、重要な指標です
  • 皮膚と毛の状態を観察する:脱毛、皮膚の薄さ、黒ずみがどう変化していくかを確認してください

関連する記事

よくあるご質問

Q. 年のせいではないのですか?

クッシング症候群には、「年齢のせいかな」と思われがちな変化が多くあります。水を飲む量やトイレの回数を日頃から把握しておくことが、早期発見につながります。

Q. 治療は続ける必要がありますか?

完治が難しいケースもあるため、継続的な管理が大切です。定期的に検査を行い、ホルモンの値を確認しながら管理していきます。

Q. どんなときに相談すればよいですか?

「最近水をよく飲む」「体型が変わった気がする」「毛が薄くなった」などが気になる場合は、お気軽にご相談ください。

まとめ

  • コルチゾールが過剰になる病気で、中高齢の犬に多い
  • 水をよく飲む、お腹がぽっこりする、左右対称に毛が薄くなるがよくあるサイン
  • ゆっくり進行するため、「年齢のせい」と見逃されやすい
  • 進行すると、糖尿病、高血圧、血栓症などを併発することがある
  • 血液検査、ホルモン検査、画像検査を組み合わせて診断する
  • 治療の中心は内服薬で、定期的な検査で管理する
  • 飲水量、体重と体型、皮膚と毛の状態を日頃から観察する

南アルプス市を中心に、甲府市・韮崎市・中央市・昭和町など周辺地域で、愛犬の多飲多尿や脱毛、体型の変化が気になる場合は、アルプス動物病院までお気軽にご相談ください(TEL: 055-269-5539)。

この記事の監修:アルプス動物病院 院長

最新情報は、下記の公式LINE・Instagramからご覧いただけます📱✨