🦷第1回:なぜデンタルケアが大切なの?
はじめに
こんにちは!アルプス動物病院です!
わんちゃん・ねこちゃんのデンタルケアは、ここ数年で特に注目されている分野です。「歯みがきは嫌がるからできなくても仕方ない」と考えられていた時代もありましたが、現在では歯周病が全身の健康に深く関わることが明らかになり、予防医療の一つとして非常に重要視されています。実際、3歳以上の犬猫の約8割がすでに歯周病の兆候を持っていると言われており、多くの子が気付かれないまま進行している可能性があります。動物は痛みを隠す習性があるため、表面上は普段通りに見えていても、口の中では炎症や感染が進んでいることがあるのです。
歯周病の進む仕組み
歯垢と歯石の蓄積
食事の後に残った細菌や汚れが歯垢となり、それが数日で歯石へと変化します。一度歯石になると家庭でのケアでは取れなくなり、放置すると歯ぐきに炎症を引き起こします。これが歯肉炎、さらには歯周病へと進行する流れです。
気付きにくい理由
犬猫は人間より痛みに強く、違和感を隠す傾向があります。そのため、食欲がある、普段通り元気といった理由で「口の中は問題ない」と判断してしまいがちですが、実際は歯ぐきの奥で炎症が進み、歯がぐらつくほど悪化しているケースも珍しくありません。
個体差も大きい
よだれの成分、噛む癖、口の形などによって歯石の付き方には大きな差があります。若い子でも歯石がすぐに付くタイプもいれば、高齢でも比較的きれいな口内環境を保つ子もいます。そのため「見た目の年齢だけでは判断できない」という点も重要です。
全身に与える影響
心臓や腎臓への波及
歯周病の原因菌は血流を通して全身に運ばれることがあり、心臓の弁膜症の悪化や腎臓の負担増加にも関係することが分かっています。口の中の炎症が、全身の病気リスクにつながるという点は飼い主さんにぜひ知っておいていただきたい部分です。
生活の質への影響
口が痛いと食べる楽しみが減り、食欲低下・体重減少・元気の低下につながります。特に高齢期では小さな口内トラブルが体調全体に影響するため、若い頃からのケアが生涯の健康維持に役立ちます。
次回予告
次回は、ご家庭でできる具体的なデンタルケアの方法と、歯みがきを嫌がらせないための上手な始め方を詳しく紹介します。歯みがきは「いきなり歯ブラシを口に入れるもの」と思われがちですが、実は順序立てて少しずつ慣らしていくことで、多くのわんちゃん・ねこちゃんが無理なく取り組めるようになります。とくに、口周りに触られることに慣れていない子や、過去に嫌な経験がある子の場合は、最初のステップがとても重要です。
次回の記事では、毎日の生活の中で無理なく続けられる方法や、性格に合わせた工夫、歯ブラシが苦手な子のための代替ケアまで、実践しやすいポイントを丁寧に解説します。「どこから始めたらいいのかわからない」「うちの子でもできるかな?」という飼い主さんにも分かりやすく、今日から少しずつ取り入れられる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
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