犬猫の食事ガイド|フードの選び方・適量の見極め方・食べないときの対処法を獣医師が解説
こんにちは、南アルプス市のアルプス動物病院です。
「フードの量、袋に書いてある通りでいいの?」「今日はごはんを残したけど、病院に行くべき?」——毎日のことだからこそ、食事の疑問は尽きません。食事は健康づくりの一番の土台で、何をどのくらい食べるかは、肥満・痩せすぎ・病気の予防に直結します。
この記事では、フード選びの基本から、体型で見る「適量」の見極め方、そして一番判断に迷う「食べないとき」の様子見ライン・受診ラインまで、まとめて解説します。
フード選びの基本 — 「総合栄養食」を軸に
- 「総合栄養食」表示を確認: 総合栄養食は、そのフードと水だけで必要な栄養が満たせるように設計されています。おやつや「一般食」「副食」表示のものを主食にすると栄養が偏ります
- ライフステージに合わせる: 子犬・子猫用(成長期)、成犬・成猫用、シニア用では栄養設計が違います。今の年齢・状態に合ったものを選びましょう
- 犬と猫でフードは別物: 猫は犬より多くのタンパク質やタウリンなどを必要とします。猫にドッグフードを主食として与え続けるのはNGです(逆も栄養バランスが崩れます)
- ドライとウェット: ドライは保存性が高く経済的、ウェットは水分補給と食いつきに優れます。組み合わせて使うのも良い方法です
「適量」はパッケージではなく体型で決める
フード袋の給与量表は出発点にすぎません。同じ体重でも、運動量・体質・避妊去勢の有無で必要カロリーは変わります。適量かどうかの答えは、その子の体型にあります。
おうちでできる体型チェック(BCS)
月に1回、次の3点を確認してみてください。
- 肋骨に触れるか: 胸を軽くなでたとき、薄い脂肪ごしに肋骨が触れれば適正。ゴツゴツ浮いていれば痩せすぎ、押し込まないと分からなければ太りすぎです
- 上から見て「くびれ」があるか: 腰のあたりが緩やかにくびれていれば適正です
- 横から見て、お腹が後ろ足に向かって吊り上がっているか: お腹のラインが垂れ下がっていれば太りすぎのサインです
「太りすぎ」に当てはまったら、フード量の1割減から始めるか、診察時にご相談ください。体重を測るだけでは分からない変化を、体型チェックは教えてくれます。

おやつは1日に必要なカロリーの1割まで
トッピングやおやつは「全体の1割以内」が鉄則です。おやつが増えた分、主食を食べなくなる「おやつ太り・栄養偏り」は非常によくあるパターンです。なお、人の食べ物(玉ねぎ・ねぎ類・チョコ・ぶどう等)には中毒を起こすものがあります。詳しくはこちらをご覧ください。 (→犬猫の誤飲・誤食 完全ガイド )
食事の回数の目安
- 子犬・子猫: 消化能力が未熟なため1日3〜4回に分けて
- 成犬・成猫: 1日2回が基本
- シニア期: 一度にたくさん食べられなくなったら、少量頻回に調整
食べないとき — 様子見ラインと受診ライン
まず確認すること
元気はあるか、水は飲んでいるか、嘔吐・下痢はないか。「フードは残すけどおやつは食べる・元気いっぱい」なら好みやわがままの可能性が高く、「おやつにも反応しない・元気がない」なら体調不良のサインです。
自宅でできる工夫
- ドライフードをぬるま湯でふやかす、温めて香りを立たせる
- ウェットフードを少量トッピングする
- 食器の高さや場所を見直す(シニアの子は首を下げるのがつらいことも)
ここからは受診してください
- 丸1日(24時間)以上、ほぼ何も食べない
- 猫が1日以上食べない: 猫は絶食が続くと肝リパドーシス(脂肪肝)という危険な状態に陥ることがあり、犬より絶食に弱い動物です。早めに動いてください
- 子犬・子猫が半日以上食べない: 低血糖のリスクがあります
- 食欲不振に嘔吐・下痢・元気消失・体重減少を伴う
- 食べたそうにするのに食べられない(口の痛み・歯の病気のサインです)
食欲不振の背景には、歯周病から腎臓病・膵炎まで様々な病気が隠れていることがあります。「食べない」は体からの重要なメッセージです。 (→犬の慢性腎臓病 、犬の膵炎 )
フードの切り替えは1週間かけて
フードを変えるときは、今のフードに新しいフードを少しずつ混ぜ、7〜10日かけて移行します。急な切り替えは下痢・嘔吐や食べムラの原因になります。
病気と食事 — 「療法食」の位置づけ
腎臓病・尿路結石・膵炎・食物アレルギーなど、食事そのものが治療の柱になる病気があります。療法食は栄養設計が特殊なため、獣医師の診断のもとで使う「治療の道具」です。市販の「〜に配慮」フードとは別物なので、病気の子の食事は自己判断で選ばず、ご相談ください。 (→疾患別の食事管理、犬猫の尿路結石 )
よくあるご質問
Q. 手作り食に興味があります。 愛情のこもった選択肢ですが、犬猫に必要な栄養バランスを家庭で満たすのは想像以上に難しく、長期的にはカルシウムなどの不足・過剰が起こりがちです。取り入れるなら「総合栄養食を主軸に、手作りはトッピング程度」から。本格的に行いたい場合はご相談ください。
Q. フードは時々ローテーションすべきですか? 体に合った総合栄養食を続けているなら、必ずしも変える必要はありません。切り替えるとき
は上記の通り1週間かけて。頻繁な変更は胃腸トラブルと食べムラのもとです。
Q. シニア用フードにはいつから切り替えますか? 目安は犬7歳〜、猫10歳〜ですが、体型・活動量・持病によって最適解は変わります。健診のタイミングで一緒に見直すのがおすすめです。
Q. 早食いで吐いてしまいます。 早食い防止食器や、1回量を減らして回数を増やす方法が有効です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。 (→犬猫の早食い対策)
まとめ
- 主食は「総合栄養食」を、年齢と犬猫それぞれに合わせて
- 適量はパッケージではなく体型(BCS)で判断。おやつは1日の1割まで
- 「丸1日食べない」「猫の絶食」「おやつにも無反応」は受診ライン
- フードの切り替えは1週間かけて。病気の子の食事はご相談を
南アルプス市を中心に、甲府市・韮崎市・中央市・昭和町など周辺地域で、食事・体重管理のお悩みは、アルプス動物病院までお気軽にご相談ください(TEL: 055-269-5539)。
この記事の監修: アルプス動物病院 院長


