【第2回】シニア期に多い病気と、早期発見のためにできること

こんにちは、アルプス動物病院です。
前回は、シニア期に入る目安と身体の変化についてお話ししました。
第2回となる今回は、シニア期に多くみられる病気 と、早期発見のためにご家庭でできること をまとめてご紹介します。


シニア期に増える代表的な病気

① 心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など)

特に小型犬に多く、年齢を重ねると心臓の弁が弱くなり、血液が逆流してしまう病気です。

  • 咳が増える
  • 散歩を嫌がる
  • 舌が紫がかる
    といった変化が見られることがあります。

猫の場合は心筋症が多く、症状が出にくいことが特徴です。


② 腎臓病・泌尿器トラブル

猫で特に多く、犬でも高齢になるほどリスクが上がります。
腎臓の機能は一度落ちると元に戻らないため、早期発見と管理がとても重要です。

よく見られる変化

  • 水を飲む量が増える
  • 尿の量が増える
  • 体重が減ってくる

「いつもより水を飲む」のは特に大事なサインです。


③ 関節疾患(変形性関節症など)

高齢になると関節の軟骨がすり減り、痛みや動きづらさが出てきます。

  • 散歩で遅れがちになる
  • 段差を拒む
  • 足をかばって歩く

筋力低下が進むと悪化しやすいため、早めのケアが大切です。


④ 腫瘍(がん)

シニア期では腫瘍の発生率が高くなります。
外にできる“しこり”は気づきやすい一方、内臓の腫瘍は気づきにくいことがあります。

次のような変化は注意が必要です。

  • 急に痩せてくる
  • 元気がなく、寝ている時間が増える
  • 食欲にムラが出る

早期であれば治療の選択肢が大きく変わるため、定期的な検査がおすすめです。


⑤ 認知機能低下(いわゆる「犬猫の認知症」)

シニアになると、脳の働きが落ちてくることがあります。
特に猫では夜鳴きや徘徊、犬では反応が鈍くなるなどの変化が見られます。

チェックしたい変化

  • 夜にうろうろ歩く
  • 飼い主の呼びかけに反応が遅くなる
  • 同じ場所を行ったり来たりする
  • トイレの失敗が増える

早期に気づけると、進行をゆるやかにするサポートができます。


ご家庭でできる「早期発見」のポイント

① いつもの生活を観察する

「昨日までできたのに、今日はしない」「行動のペースが変わった」など、
日常の変化こそが最も大切なサイン です。

特にチェックしたい項目

  • 食べる量、飲む量
  • トイレの回数・量
  • 歩き方や立ち上がりの様子
  • 触られたときの反応

② 月に1回、全身をやさしく触る

  • しこりがないか
  • 関節は痛がらないか
  • 皮膚や被毛の質が変わっていないか

触れることは、スキンシップにもなります。


③ 体重・体型のチェック

体重減少は腎臓病や甲状腺の病気のサインになることがあります。
逆に肥満は関節・心臓・呼吸器に負担をかけます。


動物病院でできること(検査の一例)

シニア期は 半年に1回の健康診断 が推奨されています。

  • 血液検査(腎臓・肝臓・血糖・甲状腺など)
  • 尿検査
  • レントゲン(関節・心臓など)
  • 超音波(心臓・お腹の臓器)
  • 心電図

症状が出にくい病気も多いため、「元気だから大丈夫」と思わず、予防的に検査することが大切です。


まとめ

シニア期の犬・猫は、心臓・腎臓・関節・腫瘍などの病気が増えますが、
早めの気づき定期的な検査 によって、健康寿命を大きく伸ばすことができます。

次回の【第3回】では、
長く快適に過ごすための生活・食事・運動の工夫 を詳しくお伝えします。

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