犬のフィラリア症とは?症状・予防薬の種類・予防期間と費用を獣医師が解説
こんにちは、南アルプス市のアルプス動物病院です。
毎年春になると「フィラリアの予防、いつから始めればいいですか?」というご相談が増えます。毎年予防している方でも、「そもそもどんな病気?」「予防薬にはどんな種類があるの?」「なぜ毎年血液検査が必要なの?」といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、フィラリア症という病気の正体から、予防薬の選び方、南アルプス市・甲府市周辺での予防期間の目安、当院での検査・予防の費用までをまとめて解説します。
フィラリア症とはどんな病気?
蚊が運ぶ「心臓の寄生虫」です
フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が媒介する寄生虫の病気です。フィラリアに感染した犬の血を吸った蚊が、別の犬を刺すことで幼虫(ミクロフィラリア)が体内に入ります。
侵入した幼虫は数ヶ月かけて皮下や筋肉の中で成長しながら移動し、最終的に心臓や肺の血管にたどり着きます。成虫はそうめん状で、長いものは20〜30cmにもなり、心臓の中で何年も生き続けます。
初期症状がほとんどない、静かに進む病気
フィラリア症の怖さは、感染してもしばらくは元気に見えることです。症状が出たときには、心臓や肺の血管がすでに大きなダメージを受けているケースが少なくありません。
だからこそ「症状が出てから治療する」のではなく「感染させない」ことが何より重要な病気です。

フィラリア症の症状 — こんな変化に注意
進行すると、次のような症状が現れます。
- 咳が続く(特に興奮時や夜間)
- 散歩ですぐに疲れる、途中で座り込む
- 呼吸が荒い
- 元気や食欲が落ちる
- お腹が膨らんでくる(腹水)
「歳のせいかな」と見過ごされやすい変化ばかりですが、この段階ではすでに病気が進行しています。さらに重症化すると、大量の虫が心臓の入り口に詰まる「大静脈症候群」を起こし、赤い尿・虚脱など数日で命に関わる状態になることもあります。
一方で、フィラリア症は正しく予防すればほぼ100%防げる病気です。過度に怖がる必要はありません。
予防の前に血液検査が必要な理由
当院では、その年の予防を始める前に必ず血液検査(フィラリア抗原検査)を行います。少量の採血で、院内で10分ほどで結果が出ます。
「毎年薬を飲んでいるのに、なぜ検査が必要なの?」と思われるかもしれません。理由は2つあります。
- 感染した状態で予防薬を飲むと危険だから: 体内にミクロフィラリアが大量にいる状態で予防薬を投与すると、虫が一斉に死滅してショック症状を起こすことがあります。安全に予防を始めるために、「感染していないこと」の確認が欠かせません。
- 前年の予防の「抜け」を確認できるから: 飲ませ忘れや、吐き出していて気づかなかった月があると、感染している可能性があります。検査は前年の予防がきちんと効いていたことの答え合わせでもあります。
なお、フィラリア検査の採血のついでに健康診断の血液検査(肝臓・腎臓の数値など)を同時に行うこともできます。年1回の健康チェックの機会としてもおすすめです。 (→内部リンク: [定期健診はなぜ必要?犬や猫の健康チェックを受ける意味とタイミング])
予防薬の種類 — おやつタイプ・スポット
予防薬にはいくつかのタイプがあり、ライフスタイルに合わせて選べます。当院で取り扱っているのは次のとおりです。
| タイプ | 投与方法 | 特徴 | こんな子におすすめ |
|---|---|---|---|
| おやつ(チュアブル)タイプ | 月1回食べさせる | 嗜好性が高く、おやつ感覚で続けやすい。ノミ・マダニも同時予防できるオールインワンタイプもあり | 食べることが好きな子、投薬が苦にならない子 |
| 錠剤タイプ | 月1回経口投与 | 食物アレルギーがある子、皮膚が敏感な子でも使える | 飲み薬が無理なく飲める子 |
| スポット(滴下)タイプ | 月1回首筋に垂らす | 食物アレルギーがある子や、錠剤・おやつが苦手な子でも使える | おやつを食べてくれない子、食事制限中の子 |


費用の目安(体重により変動します)
- フィラリア抗原検査: 1650円
- お薬(1ヶ月分): 880円〜
※体重によって薬の用量が変わるため、正確な金額は診察時にご案内します。
ノミ・マダニ予防と一緒にできるオールインワンタイプについては、こちらの記事もご覧ください。
南アルプス市周辺の予防期間 — いつからいつまで?
予防期間は「蚊が出始めて1ヶ月後から、蚊がいなくなって1ヶ月後まで」が基本です。予防薬は蚊に刺されるのを防ぐ薬ではなく、体内に入った幼虫を毎月リセットして駆除する薬なので、「蚊を見なくなったからやめる」と最後の1ヶ月分が抜けて感染が成立してしまいます。最後の1回が一番大切です。
甲府盆地は夏の気温が高く、蚊の活動期間が比較的長い地域です。当院では例年、4月から12月までの予防をおすすめしています。
また近年は温暖化の影響で蚊の活動期間が延びており、飲ませ忘れのリスクがない通年予防を選ばれるご家庭も増えています。
よくあるご質問
Q. 室内犬でも予防は必要ですか? 必要です。蚊はわずかな隙間から室内に入り込みます。実際に室内飼育のみの犬でも感染例は報告されています。
Q. 1ヶ月飲ませ忘れてしまいました。どうすればいいですか? 気づいた時点で早めにご相談ください。忘れた期間の長さによって対応が変わります。自己判断で2回分を一度に飲ませることはしないでください。
Q. 何歳から予防を始めますか? 子犬は生後8週頃から予防を始められます。初年度は検査なしで開始できる場合もありますので、子犬をお迎えしたらまずご相談ください。
Q. 猫にもフィラリア予防は必要ですか? 猫も感染します。猫は少数の虫でも突然死の原因になることがあり、しかも犬のような確実な検査法がないため、予防がより重要です。猫用のスポットタイプの予防薬をご用意しています。
まとめ — 毎年の検査と予防を習慣に
フィラリア症は、かかってしまうと治療が大変な一方で、予防すれば確実に防げる病気です。
- 予防開始前に血液検査で安全確認
- 4月〜12月まで毎月しっかり投与(最後の1回まで)
- ライフスタイルに合わせて薬のタイプを選べます
南アルプス市を中心に、甲府市・韮崎市・中央市・昭和町など周辺地域で、フィラリア予防のご相談や、咳・疲れやすさなど気になる症状がありましたら、アルプス動物病院までお気軽にご相談ください(TEL: 055-269-5539)。
この記事の監修: アルプス動物病院 院長


