犬猫のノミ・マダニ予防は通年で|予防薬の種類・付いたときの対処・費用を獣医師が解説

こんにちは、南アルプス市のアルプス動物病院です。

「ノミ・マダニの予防は暖かい季節だけでいい」と思っていませんか?実は近年、この考え方は変わりつつあります。暖房の効いた室内ではノミは冬でも繁殖でき、マダニには秋から冬に活発になる種類もいるためです。

この記事では、ノミ・マダニがもたらす病気のリスク、予防が通年で必要な理由、予防薬の種類と費用、そして「もし付いてしまったら」の正しい対処法まで解説します。

ノミの害 — かゆみだけでは済みません

ノミは体長2〜3mmの小さな寄生虫ですが、犬猫に与える影響は小さくありません。

  • ノミアレルギー性皮膚炎: ノミの唾液に対するアレルギーで、わずか数匹の寄生でも激しいかゆみと皮膚炎を起こします。腰からしっぽの付け根にかけての脱毛やブツブツが典型的なサインです
  • 瓜実条虫(サナダムシ)の感染: ノミを毛づくろいで飲み込むことで、お腹の寄生虫に感染します
  • 貧血: 子犬・子猫では大量寄生で貧血を起こすことがあります
  • 人への被害: ノミは人も刺します。足首まわりに強いかゆみを伴う発疹ができるのが特徴です

しかも、動物の体の上にいるノミは全体のごく一部です。卵や幼虫はカーペットやソファ、寝床に潜んでいるため、「1匹見つけた」時点で環境中にはその何十倍もいると考える必要があります。

(→室内飼いでも油断禁物!猫のノミアレルギー皮膚炎と対策

ノミの大きさ

マダニの害 — 人の命に関わる感染症も

マダニはノミよりさらに深刻です。吸血によって犬猫の体をむしばむだけでなく、さまざまな病原体を媒介します。

  • 犬のバベシア症: 赤血球が破壊され、重い貧血を起こす病気です。重症化すると命に関わります
  • SFTS(重症熱性血小板減少症候群): マダニが媒介するウイルス感染症で、人にも感染します。人での致死率が高い、いま最も警戒されている人獣共通感染症のひとつです。発症した犬や猫から人へ感染した事例も報告されています
  • そのほか、貧血や皮膚の炎症、ライム病などの原因にもなります

マダニは山や草むらだけでなく、河川敷・公園・庭先にも潜んでいます。散歩コースに草むらがある子は、住宅地でも十分リスクがあります。

(→マダニの感染症SFTSに注意!人もペットも守る予防の重要性

マダニの大きさ比較

なぜ「春から」ではなく「通年」なのか

以前は「ノミ・マダニ予防は春から秋まで」が一般的でした。しかし現在、当院では通年の予防をおすすめしています。理由は3つあります。

  1. ノミは室内で冬を越せる: ノミは気温13℃以上あれば繁殖できます。暖房の効いた現代の住宅は、ノミにとって冬でも快適な環境です
  2. 秋〜冬に活動するマダニがいる: マダニの中には晩秋から冬にかけて活発になる種類(フタトゲチマダニの幼ダニなど)がいます。「寒くなったから安心」とは言えません
  3. 予防の中断・再開は忘れの元: 「今年はいつから始めよう」と毎年悩むより、通年で習慣化するほうが結果的に確実です

フィラリア予防と一緒に管理すると投薬忘れも減ります。詳しくはフィラリアの記事もご覧ください。 (→犬のフィラリア症とは?症状・予防薬の種類・予防期間と費用])

室内飼いでも予防は必要?

必要です。ノミ・マダニは、人の衣服や靴、他のペットに付いて室内に持ち込まれます。ベランダや玄関先に出るだけの猫ちゃんでも寄生例はあります。特に猫のノミ寄生は非常に多く、「完全室内飼いなのにノミがいた」というケースは日常的に経験します。

マダニが付いているのを見つけたら — 絶対に無理に取らないで

体にマダニが付いているのを見つけたとき、指やピンセットで無理に引き抜くのはNGです。

  • マダニの口器(口の部分)は皮膚に強く食い込んでおり、無理に引っ張ると口器がちぎれて皮膚内に残り、化膿や炎症の原因になります
  • 潰すと、マダニの体液が逆流して病原体の感染リスクがかえって高まります

見つけたら、そのまま当院にご相談ください。安全に除去し、必要に応じて予防薬の処置を行います。ノミを見つけた場合も、市販のノミ取り首輪やシャンプーだけでは環境中の卵・幼虫まで断てないため、動物用医薬品での駆除・予防をおすすめします。

予防薬の種類と費用

当院で取り扱っている予防薬は次のとおりです。

タイプ投与方法特徴
おやつ(チュアブル)タイプ月1回食べさせる嗜好性が高く続けやすい。シャンプーや雨の影響を受けない
スポット(滴下)タイプ月1回首筋に垂らすおやつが苦手な子・食物アレルギーの子に。猫はこちらが主流
オールインワンタイプ月1回フィラリア+ノミ・マダニ+お腹の虫まで1剤でカバー。投薬管理が一番ラク

費用の目安(体重により変動します)

  • ノミ・マダニ予防薬(1ヶ月分):1,200円〜
  • オールインワンタイプ(1ヶ月分): 3,500円〜

※市販薬(医薬部外品)と動物病院の予防薬(動物用医薬品)は有効成分と効果が異なります。確実に予防したい場合は動物用医薬品をおすすめします。

よくあるご質問

Q. 草むらに入らなければマダニは付きませんか? リスクは下がりますが、ゼロにはなりません。マダニは草の先端で動物が通るのを待ち構えており、道路脇のわずかな緑地にも潜んでいます。また、ノミは他の動物や人の靴・衣服からもやってきます。

Q. ノミを1匹見つけました。その1匹を退治すれば大丈夫? 残念ながら、見えている成虫は氷山の一角です。環境中の卵・幼虫・さなぎを含めた対策が必要なので、予防薬による継続的な駆除と、寝床や部屋の掃除をセットで行ってください。

Q. ノミ・マダニは人にもうつりますか? ノミは人も刺し、マダニは人にも付きます。特にマダニが媒介するSFTSは人で重症化しうる感染症です。ペットの予防は、ご家族を守ることにもつながります。

Q. 猫に犬用の薬を使ってもいいですか? 絶対にやめてください。犬用のノミ・マダニ薬の中には、猫に使うと重い中毒を起こす成分(ペルメトリンなど)を含むものがあります。必ず猫用として処方された薬を使ってください。

まとめ — 通年予防でノミ・マダニと感染症から家族を守る

  • ノミは冬でも室内で繁殖、マダニは秋冬も活動 → 予防は通年が安心
  • マダニのSFTSは人にもうつる感染症。ペットの予防が家族の予防に
  • 付いてしまったマダニは無理に取らず、そのまま病院へ
  • フィラリアと同時に予防できるオールインワンタイプなら管理もラク

南アルプス市を中心に、甲府市・韮崎市・中央市・昭和町など周辺地域で、ノミ・マダニ予防のご相談はアルプス動物病院までお気軽にどうぞ(TEL: 055-269-5539)。

この記事の監修: アルプス動物病院 院長