犬のクッシング症候群とは?原因・検査・治療まで解説

こんにちは!アルプス動物病院です。
今回は、中高齢のワンちゃんに多い「クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)」について詳しくお話しします。
飲水量の増加やお腹のふくらみ、脱毛など、気になる変化がある場合に知っておきたい情報をまとめました。


クッシング症候群とは

クッシング症候群とは、体内で コルチゾールというホルモンが過剰に分泌され続ける状態 のことです。
コルチゾールはストレスに対抗したり体のバランスを整えたりするための重要なホルモンですが、多すぎると様々な不調の原因になります。


クッシング症候群の原因

クッシング症候群には主に2つのタイプがあり、原因によって治療方針も異なります。

下垂体性(最も多いタイプ)

・脳の下垂体に小さな腫瘍ができる
・「もっとコルチゾールを出せ」という指令が過剰になり、副腎が必要以上に働いてしまう
・犬では約8割がこのタイプと言われています

副腎性(副腎の腫瘍)

・副腎そのものに腫瘍が発生
・病変のある副腎が大量のコルチゾールを作り続ける
・画像検査で左右差が大きい場合、こちらが疑われます


クッシング症候群で見られやすい変化

飼い主さんが気づきやすいポイントをまとめました。

よくあるサイン

・水を飲む量が増える
・排尿回数が増える
・食欲の増加
・お腹がぽっこりしてくる
・左右対称の脱毛
・皮膚が薄くなる、黒ずみが出る
・ハァハァした呼吸(パンティング)が増える

特に 飲水量の増加・体型の変化・毛並みの異常 は来院につながりやすい傾向があります。


どんな検査を行うの?

診断には、血液検査、ホルモン検査、画像検査 を組み合わせて総合的に評価します。

血液検査

・ALPの上昇(非常に高くなることが多い)
・コレステロール値の上昇
・軽度の高血糖

ホルモン検査

・ACTH刺激試験
・低用量デキサメサゾン抑制試験
これらの検査により、ホルモンの分泌バランスを詳しく調べます。

画像検査(超音波・レントゲンなど)

・副腎の大きさ
・左右差
・腫瘍の有無
副腎性か下垂体性かの判断材料となります。


治療方法について

治療は 原因・進行度・全身状態 を見て最適な方法を選択します。

薬による治療(一般的)

・副腎でのコルチゾール産生を抑える薬を使用
・飲水量や食欲、行動の変化をみながら慎重に投薬量を調整
・定期的なホルモン検査が必要

手術による治療

・副腎に明らかな腫瘍がある場合に選択
・腫瘍の大きさや浸潤の有無、心臓・肝臓などの状態を見ながら総合判断

併発症の管理

・皮膚トラブル
・膀胱炎
・糖尿病
これらが同時に見られることもあるため、並行して治療することが重要です。


ご家庭でのケアと観察ポイント

飲水量の記録

毎日のお水の量をメモすることで、治療効果の確認にも役立ちます。

体重・体型のチェック

ぽっこりお腹の改善度や体重の変化は重要な指標です。

皮膚・被毛の状態を観察

脱毛・皮膚の薄さ・黒ずみがどう変化していくか確認してください。


まとめ

クッシング症候群は中高齢の犬でよく見られるホルモン疾患ですが、
早期発見と適切な治療により生活の質を大きく改善できる病気 です。

「最近水をよく飲む」「体型が変わった気がする」「毛が薄くなった」などが気になる場合は、お気軽にご相談ください。
大切なワンちゃんが快適に過ごせるよう、当院でもしっかりサポートいたします。

最新情報は、下記の公式LINE・Instagramからご覧いただけます📱✨